日刊スポーツ新聞記事のご紹介です。

元日本代表監督の岡田武史氏(58)が、日本サッカー界の「育成改革」に乗り出す。W杯ブラジル大会を現地観戦し、日本サッカーの現状を危惧。四国リーグ3位のFC今治の運営会社「株式会社今治.夢スポーツ」の株式を51%取得し、経営権を持つことで、育成からトップまで、選手、指導者、フロントが一貫した哲学でプレーする「日本のバルセロナ」を築き上げる意向だ。「岡田哲学」を注入したクラブは5年後のJリーグ入りを目標に掲げる。

日本サッカー界に一石を投じる試みだ。岡田氏がついに動きだす。イメージするのは、ここ数年間にわたり世界のサッカー界に大きな影響を与えたバルセロナ。FC今治の経営権を持ち、育成年代からトップまで一貫した「岡田哲学」を注入したクラブを構築する。

実は以前から話していたことがあった。「良い悪いではなく、日本のサッカーでは責任者が代わると方針も変更されることが多々ある。ただ、それは致し方ない部分もある。だから、一貫した方針、哲学のもと選手を育てることができるクラブが必要だと思う」。

アギーレジャパンの戦いぶりについても「代表監督がどうこうより、また一から(スタート)という感じがあった」と率直な思いを口にしていた。バルセロナはどの時代でもパスを回すスタイルを貫く。それは育成を行う下部組織も同じだ。「日本にもそのようなクラブがあれば、という気持ちはある。そのような仕事をしてみたいし、考えている」とも話していた。

Jクラブなどの既存の組織では、さまざまなしがらみがあるため、理想を実現することが難しいと判断。だからこそ、早大のサッカーサークルの先輩である人物が運営に関わる地域リーグのFC今治に着目した。経営権を握ることが第1目標ではなく、全ては理想実現のための行動だ。

具体的な目標も掲げる。「早ければ5年後にJリーグ参入」「2020年の東京五輪に臨む五輪日本代表にFC今治の下部組織で育てた選手を送り込む」。難しい目標だが、今までも日本代表監督、中国スーパーリーグ挑戦と困難を乗り越えてきた経験がある。

愛媛県今治市の町おこしの狙いもある。自宅から通えない下部組織の選手寮などはつくらず、子育てが終わった地域の家庭にホームステイさせる計画もある。同時に「岡田武史」という知名度を生かし、少しでも地元経済の活性化に寄与したいという思いもある。

口癖は「日本サッカーの強化のためには選手育成と指導者育成しかない」。バルセロナは選手だけでなく、関わる指導者全てに「バルサ・イズム」が浸透している。岡田氏もFC今治で下部組織の選手育成だけでなく、指導者にも「岡田哲学」を注ぎ込み育成する。選手、指導者、フロントが一体となり、人の入れ替えがあろうともブレないクラブ。視線の先には「日本のバルサ」の構築がある。

◆岡田武史(おかだ・たけし)1956年(昭31)8月25日、香川県生まれ。大阪・天王寺高、早大を経て、80年に日本リーグ古河電工(現J2千葉)入り。日本代表の国際Aマッチ27試合1得点。94年11月に日本代表コーチに就任。97年10月に監督に昇格、98年W杯フランス大会1次リーグ3連敗。99年から札幌、03年から横浜を指揮して03、04年J1連覇。07年11月にオシム監督が急病で、再び代表監督に。10年W杯南アフリカ大会で16強進出。11年末に中国スーパーリーグ杭州緑城の監督に就任し、昨年限りで退任。家族は夫人と2男1女。

◆FC今治 愛媛県今治市を拠点とするアマチュアのサッカークラブ。1976年(昭51)に「大西サッカークラブ」として設立。91年に「今越FC」、04年に「愛媛しまなみFC」とチーム名を変更。09~11年は愛媛FCの下部組織「愛媛FCしまなみ」として活動。12年から運営組織の移管に伴い「FC今治」に変更した。12年天皇杯では2回戦でJ1広島を2-1で破っている。四国リーグを12、13年と連覇も、今季は3位終了。監督は元広島監督の木村孝洋氏(57)。ホームグラウンドは桜井海浜ふれあい広場サッカー場。

◆日本サッカーのピラミッド リーグ構成はJ1を頂点に、6部相当の各都道府県リーグまで。各リーグ間で自動昇格や入れ替え戦があるが、J3からJFLへの降格はない。地域リーグ所属チームがJFLに昇格するには、地域リーグで1位となるか、全国社会人選手権で上位に入り12チームによる全国地域リーグ決勝大会に出場する必要がある。ここで上位2チームに入れば自動昇格。FC今治は今季、同大会への出場を逃しているため、来季のJFLはない。

◆四国リーグ 正式名称は四国社会人リーグ。1977年(昭52)に創設。8チームによる1部構成で、FC今治のほか、アイゴッソ高知、高知UトラスターFC、多度津FC(香川)、R.VELHO(香川)llamas高知FC、南クラブ(香川)、中村クラブ(高知)が所属。今季は高知Uトラスターが優勝した。最多優勝はテイジン(愛媛)の10回。

[2014年11月2日7時58分 紙面から]

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